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2004.11.08

みんなのいえ

先日、テレビで三谷幸喜監督・脚本の映画「みんなのいえ」を放映していた。
僕は三谷作品は好きなのでほとんど見ていると思う。これも劇場へこそ行かなかったが、ビデオを借りて観た。三谷氏自身が家を建てた経験を元にした脚本らしく、主人公はシナリオライターという設定だ。
みごとな三谷調で、すばらしいコメディに仕上がっているのだが、日々僕ら(建築設計者)が行っている仕事がそこに再現されているようで、興味深く観た。
頑固でアーティスト気取りな美大出の設計者、やはり頑固な昔かたぎの大工(棟梁)との互いに譲らない攻防を軸に、優柔不断な施主、棟梁に雇われた実務派の建築士、風水マニアの姑、言うことを聞かない職人達…が絡み、実に面白い、と同時に身につまされる映画だ(^^;

アーティスティックな設計者が「この扉は内開きだ」と主張しても、現場では頑固な棟梁が勝手に「玄関が内開きなんて見たこと無い」と勝手に外開きにしてしまう。
「リビングに柱はいらない」と主張するアーティスティックな設計者、「大黒柱の無い家なんて見たこと無い」と勝手に柱を立ててしまう棟梁。
オーセンティックでモダニズムな空間?を目指す設計者と和室のじゅらくにこだわる棟梁。
インチで図面を書くアーティスティックな設計者、尺でしか図面を読めない棟梁。
六畳だった和室を、和室にこだわり勝手に二十畳にしてしまう棟梁。
風水マニアの義母に翻弄され、結局便所を3つも作ってしまう施主(夫)。
設計者の指示どおりの色に塗ってくれない塗装屋。定尺モノの材料しか使ってくれない棟梁と職人達。
設計者・棟梁も知らないところで勝手に庭に池が出来ていたり、しょんべん小僧が置かれていたり…などなど。
だけど、すったもんだした挙句、結局家は出来上がる。そして皆それぞれの立場で満足をする。

建築の設計・監理とはこういうことだ。

この映画は建築の設計・監理の実体の縮図だ。コメディであるが故、かなりデフォルメされている部分も多いが、当らずとも遠からずだ。
僕は、建築はコラボレーションであるべきだと思うのだが、まぁそれは理想論であり、実際はきれい事だけで物事が進むわけがない。
関係者は、自分の立場で自らの主義主張を押し通そうとする。皆が四方八方に向かって全速力でダッシュするようなものだ。それを必死になってバラバラにならないように抑えるのが、設計者・監理者の仕事であるといえる。

だけど、終わり良ければすべて良しだ。みんなが笑顔で引渡しの日を迎えてくれれば、それで良しなのだ。
例え設計者が悪者になっても、その建築を施主が満足してくれれば・・・、きっとその仕事は大成功だったと言えるだろう。

041110.jpg
CONTAX T2 / Carl Zeiss Sonnar T* 38mmF2.8 + RVP100

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コメント

>建築の設計・監理とはこういうことだ。
写真撮影の現場も似た様な物です。。。

投稿: へらコブラ | 2004.11.08 22:22

屋根裏から墨つぼじゃなくて、ゲンノウが出てきたことがあります。(笑)
実家では、それをまだ使っています。
いや、ほんと。家は難しいです。次はちゃんとしたの立てるぞ!

投稿: よしざわ | 2004.11.08 23:32

こんばんわ。

>へらコブラさん
たしかに。
写真も一品受注生産品ですもんね。似た部分もたくさんある気がします。

>よしざわさん
おおゲンノウ!素晴らしいですね。
大工の道具の中でも墨壷は興味深いモノの一つですね。
墨出しする大工を見学させてもらったりしたもんでした。あれって、一朝一夕では思ったように線を引けないんですよねぇ(^^;

投稿: ライナス | 2004.11.09 00:00

>墨つぼ
最近は、チョークの粉をナイロンの糸で、バシッってやるやつが、トレンドみたい。(間違ったら消せる?)
確か、この墨つぼの別名は「烏口」ではなかったでしょうか?鳥の格好をしたものが多かったような。
製図の烏口と混同されるんで、墨つぼって呼ばれているのか、はたまた、一部のローカルな名称だったのか。。

投稿: よしざわ | 2004.11.09 00:38

>よしざわさん

そういえば烏の形に似ているような気もしますね。
烏口って昔自宅にあったような…?
僕が学生のときは、すでにロットリングとかの製図ペン。
仕事はじめてからはCADになってしまいました。(^^;

投稿: ライナス | 2004.11.09 00:56

さすがにお若い。私の学生時代は「ロットリング」はお金持ちの道具でした。(ジャンルが違うけどね…)雲形定規とトレスコープ。トライXにD-76。インダストリアルの人は平行定規やドラフター。
今は、アドビのイラストレーターとフォトショップ。似たようなものですねぇ。
烏口ってのは、わたしの40年ぐらいの思い込みかも。(^^ゞ

投稿: よしざわ | 2004.11.09 01:10

ロットリングは今も持ってますねー。たしかに高かった。
そしてよくインク詰まりしてた(笑)
建築学科はT定規か平行定規。機械工学科はドラフターだったような…。
今は、AutodeskのAutoCAD。(^^;
でも、T定規と平行定規は今も使っていますけど。2Bの鉛筆が好みです。

投稿: ライナス | 2004.11.09 01:27

あれ?建築ネタになってる・・・。みなさんこんばんは。

>確か、この墨つぼの別名は「烏口」ではなかったでしょうか?鳥の格好をしたものが多かったような。

まだ現場では使ってますよね。初めて現場で見たときは「何物だ?」と思いましたが、仕事の鮮やかなこと!

それと確かに図面の電子化は急速に進みましたね。最近やっとこAUTOCADとDRACADが多少使えるようになりましたが、鉄骨の現寸検査に鉄骨のファブに行っても、現寸はCADで画面上で確認する時代です。何しに行ってるんだか・・・。

あと、特に意匠さんの方ではパースの技術が飛躍的に上がったのでは?今は写真とCGの合成なんて簡単なんですね。とある物件で見せてもらいましたが、本当に本物かと思ってしまった・・・。

平行定規・ドラフター・ロッドリング・・・全部持ってますが今は出番無しです。

投稿: りょーじん@構造屋 | 2004.11.09 23:57

>りょーじんさん
こんばんわ。
設計の段階は電子化が進んでいますが、やっぱり現場は人が作ってますよね。
いくら精度の高い図面を書いても、収めるのは人間(職人さん)ですからね。
今は3DCGソフトの勉強中です。

投稿: ライナス | 2004.11.10 00:29

私も見ました。"みんなのいえ"
ライナスさん(&Y君・笑)のお仕事は大変なんだなぁと再認識。
でも、素敵なお仕事だなぁとも思います。

ところで、三谷作品といえば、最新作"笑の大学"
役所広司はよいとしても、稲垣くん、大丈夫なんだろうか・・・
ちょっと不安だけど、見てみたいです。

投稿: まる | 2004.11.10 22:12

>まるちゃん
「笑いの大学」もビデオ化されたら観る予定(^^;
映画一作目の「ラジオの時間」は傑作だった。笑えた。

投稿: ライナス | 2004.11.10 22:38

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